インプラント

インプラント手術前、手術当日の注意点を教えて

インプラント手術前、手術当日の注意点を教えて

なんばクローバー歯科 歯科医師 共田 京太

インプラント治療を受けることになったら、手術の前日・当日・翌日の注意点に目を通して内容を把握しておきましょう。

必ずインプラント治療の前に担当医に伝えておくこと

インプラント前の診察

歯科医師から質問があると思いますが、持病や服用中のお薬がある方は、必ず担当医に伝えましょう。アルコールやタバコに関しても、量によってはインプラントの治癒に関係してきますので、安全に手術を受けるために、必ず担当医に伝えましょう。

インプラント手術前の注意

インプラント手術の前に注意すべき点は以下のようなものです。

タバコについて

喫煙は出来るだけ控えましょう。できれば禁煙していただくのがベストです。タバコは一般的に健康被害があると言われますが、インプラント治療に関しては、タバコに含まれる有害物質のためにインプラントが骨と結合しにくい、傷が治りにくいなどの影響がありますので、一時的に喫煙して頂くことが好ましいです。

タバコの煙には三大有害物質と呼ばれるニコチン、タール、一酸化炭素の他にも70種類以上の発がん性物質が含まれています。

たばこの三大有害物質とは?

  1. ニコチン・・血管を補足して心拍数増加、血圧上昇をもたらす。強い依存性がありタバコをやめられなくなる。
  2. タール・・タバコのヤニの成分で発がん物質のかたまり。
  3. 一酸化炭素・・血液中で酸素を運ぶ機能を阻害し酸素不足を引き起こす。

タバコの煙に含まれるニコチンは毛細血管を収縮させて歯茎の血流を悪くし、免疫力を弱め傷が治りにくくなります。

全身疾患の症状のコントロール

全身疾患のある方は、日常的に服用している薬が手術に影響を及ぼす可能性があります。特に動脈硬化、糖尿病、骨粗しょう症などの持病がある方は、かかりつけ医師にきちんと相談した上でインプラント手術を受けるようにしましょう。。

抗血小板薬や抗凝固薬など血液をサラサラにする薬を服用されている場合は、手術時に出血が止まりにくくなるなどの問題が起こる可能性があります。

手術当日の注意

手術当日にも注意点がいくつかあります。

食事について

手術の前には、担当医からの特別な指示がなければ、普段通りの食事を取って頂いても大丈夫です。食後の歯磨きなどのケアは丁寧に行うようにしましょう。

手術後はスープややわらかい食べ物を食べるようにして、傷口に食べ物が当たらないようにしましょう。食べ物が傷口に当たって傷が開くと、治りが遅くなったり感染のリスクが上がります。

車やバイクの運転

インプラント手術当日の車やバイクの運転に関する注意点は以下の通りです。

1. 運転は避ける

インプラント手術後は麻酔の影響で身体の感覚が鈍くなることがあります。このため、手術直後は運転能力に影響が出る可能性があるため、安全を考慮して車やバイクの運転は避けましょう。

2. 同伴者の確保

手術後に自宅などへ戻る際は、事前に家族や友人に送迎を依頼するか、公共交通機関を利用することを検討しましょう。※インプラントの埋入本数が少ない場合は、同伴者は必要ない場合が殆どです。

3. 麻酔の種類に注意

使用される麻酔の種類によっては、手術後数時間は車やバイクの運転に支障が出ることがあります。手術前に医師に麻酔の影響について確認し、指示に従いましょう。

4. 術後の痛みや不快感

手術後は痛みや不快感が残ることがあり、これが車やバイクの運転に影響を与える可能性があります。安全のため、痛みや不快感が完全になくなるまで運転は控えることをお勧めします。

5. 医師の指示に従う

医師から特別な指示がある場合はそれに従ってください。運転再開のタイミングについても、医師のアドバイスを参考にしましょう。

インプラント手術を受ける際は、安全第一で行動することが大切です。特に手術当日は体調が不安定になりやすいため、運転を控え、安全な移動方法を選択してください。

手術前の服装など

インプラント手術前の服装に関する注意点は以下の通りです

1. 快適で緩い服装

手術中にリラックスできるように、体にぴったりしすぎない服を選びましょう。特に、上半身は動きやすく、締め付けがないことが重要です。

2. 長袖シャツや長ズボンを着る

手術室は冷えることが多いので、温かく保てる服装が望ましいです。また、長袖や長ズボンは、手術中の無菌状態を保つためにも役立ちます。

3. 簡単に脱げる服を着る

手術後は体調がすぐに戻らないことがありますので、簡単に脱ぎ着できる服が良いでしょう。

4. ジュエリーやアクセサリーは避ける

手術中には金属製品を身につけることは避けましょう。耳飾り、指輪、ネックレスなどは外しておくことが望ましいです。

5. 化粧品や香水の使用を控える

化粧品や香水は、手術中にアレルギー反応などを起こす可能性があるため、控えるようにしましょう。

6. メガネや入れ歯などの取り外し可能なアイテム

必要に応じて取り外せるように、メガネや入れ歯などは手術前に外せる状態にしておくと良いです。

これらのポイントを踏まえ、手術当日はリラックスして臨める服装を選びましょう。また、不安な点があれば手術前に医師に相談することをお勧めします。

手術後のお風呂

血流が良くなると出血しやすくなったり、血が止まりにくくなりますので、インプラント手術当日はぬるめのお湯につかるか、シャワーにしましょう。

◇医院から出されたお薬は必ず服みましょう

当日は歯科医院から抗生物質などのお薬が処方されます。お薬を服むタイミングを守り、忘れないように全て服み切りましょう。薬疹などが出た場合は一旦服用をやめて歯科医院まで連絡しましょう。

インプラント手術前、手術当日の注意点に関するQ&A

インプラント手術をした日に仕事に行けますか?

手術当日は寝ている必要はないものの、安静に過ごすようにしましょう。身体を動かしたり、お酒や入浴によって出血や腫れが酷くなることがあります。

翌日以降はデスクワーク程度の体力をあまり使わないような仕事なら問題ありません。ただ、身体を使う仕事の場合は、出血や腫れや痛みがひどくなり、傷の治りが遅くなる場合がありますので注意しましょう。

インプラント治療をするにあたって禁煙は必要ですか?

喫煙はインプラントと骨が結合するのを阻害し、傷が治りにくくなりますので、禁煙が望ましいです。

アメリカでの調査報告によると、喫煙者のインプラントと骨が結合する確率は、非喫煙者と比べると10%以上低いとのことです。(「かめる幸せを取り戻す/日本口腔インプラント学会」による)

インプラント治療後の感染リスクも高くなりますので、インプラントを長もちさせるためには禁煙をお勧めします。

手術当日の食事についての注意点は何ですか?

通常の食事を摂ることができますが、担当医から特別な指示がない限り普段通りの食事を摂ることができます。ただし、手術後はスープややわらかい食べ物を選び、傷口に食べ物が当たらないように注意しましょう。

手術当日の車やバイクの運転はできますか?

手術当日は車やバイクの運転を控えることが望ましいです。手術後の痛みや麻酔の影響で運転に支障が生じる可能性があるため、安全のために控えましょう。

まとめ

歯のキャラクター

インプラント手術当日までに、体調を整えておきましょう。十分な睡眠をとって、リラックスした状態で手術日を迎えることが大切です。気持ちの余裕のある状態で手術を受けられるようにしましょう。

インプラント手術前および手術当日の注意点に関して、以下の論文を参考に説明します。

1. Oh et al. (2016) の研究によると、インプラント手術は予測可能な方法であるものの、事故や合併症のリスクが増加しています。事故や合併症を最小限に抑えるためには、適切な術前評価が重要です。特に、皮質骨が初期安定性を提供するのに不十分な場合、インプラントフィクスチャーは設置中に上顎洞や骨髄空間に移動する可能性があります。このため、インプラント設置時には、骨質の評価や必要な診断イメージングを行い、潜在的なリスクを事前に把握することが重要です。【Oh, Kim, & You, 2016

2. Ebenezer, Ramalingam, & Nair (2021) の研究では、インプラント手術に際して予防的抗生物質の処方に関する問題が取り上げられています。一般的にアモキシシリンやペニシリンが最初の治療として処方されますが、ペニシリンアレルギーの増加に伴い、クリンダマイシンが代替薬として優れた結果を示しています。しかし、抗生物質の使用は論争の対象であり、特に手術後の標準的なガイドラインが必要です。抗生物質の使用による否定的な影響をコストと疾病の発生率と比較して評価する必要があります。【Ebenezer, Ramalingam, & Nair, 2021

これらの論文から、インプラント手術における重要な注意点として、適切な術前評価と潜在的な合併症への対策、そして予防的抗生物質の使用に関する慎重な判断が挙げられます。患者の健康状態や骨質を評価し、必要に応じて適切な抗生物質を処方することが重要です。

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