予防歯科

フッ素塗布の後にうがいしないのはなぜ?

フッ素塗布の後にうがいしないのはなぜ?

なんばクローバー歯科 歯科医師 共田 京太

フッ素を塗布した後に30分はうがいしないでくださいと言われる理由はなぜでしょう。フッ素後にうがいをしないのはフッ素の特徴に原因があります。

フッ素とは

フッ化物とは自然界の中に存在しています。例えば、鉱物の蛍石・水晶石・リン鉱石、海や地中などにも存在します。そのため、微量ではありますが、私たち人間もフッ化物を口にしているのです。

フッ素配合の歯磨き剤などCMでよく耳にします。歯磨き剤に入っているのは、正しくはフッ化物、フッ素化合物です。成分表示を確認すると、モノフルオロリン酸ナトリウム(MFP)・フッ化ナトリウム・フッ化第一スズが配合されています。

厚労省がフッ化物イオン濃度を1,500ppmF以下に定めています。ppmFという単位は1%=10,000ppmFです。1,500ppmF以下の濃度は、歯磨き剤1g中に1.5mgまではフッ化物の配合を認可されているということになります。

歯の構造


歯は以下の3つの部分から出来ています。

  • エナメル質
  • 象牙質
  • 神経(歯髄)

エナメル質

エナメル質は口腔内で露出している歯冠の部分です。歯の表層にあたり、ほぼハイドロキシアパタイトと呼ばれる無機質で構成されています。ガラスなどよりも硬く、人体の中で最も硬い成分ですが、むし歯菌の排出する酸には弱く溶けてしまう性質があります。

象牙質

象牙質はエナメル質より柔らかくおおよそ7割をハイドロキシアパタイト、残りは繊維状たんぱく質のコラーゲンで構成されています。

歯髄

歯髄は神経のため軟組織で血管も通っています。歯の根元はセメント質となっていて、セメント質の周囲を歯根膜というクッション性の高い膜が覆っています。固い食べ物を噛んだ際に痛みや衝撃が来ないのは、歯根膜の存在が大きいでしょう。

歯以外でも、人体の硬組織である骨の6割がハイドロキシアパタイトでできており、水やたんぱく質とともに人体にはなくてはならない成分の一つです。

フッ素が歯に良い理由


フッ化物が歯に効果的な理由は以下のようなものです。

  • 歯を強くする
  • 歯を修復する
  • 歯垢や酸の抑制

歯を強くする

ハイドロキシアパタイトは、結晶としては不安定で唾液の中にあるカルシウムを取り込んでしまい、虫歯になりやすい環境になりがちです。ところがフッ化物が口腔内に入ると、表層のエナメル質の成分であるハイドロキシアパタイトがフルオロアパタイトに結晶構造が変化します。フルオロアパタイトは、ハイドロキシアパタイトよりも酸や水に溶けにくい構造になるため、虫歯予防に有効だと言えるのです。歯を強くする、つまり歯質の改善になります。

歯を修復する

虫歯(う蝕)による脱灰とは、歯の内部にあるカルシウムが外部に溶け出した状態です。進行してしまうと、変色や穴が開き神経を腐らせ、抜歯に至るほどの細菌感染を起こしてしまいます。虫歯になりかけの歯にフッ素が入ると、外部に溶けかけたカルシウムやリン酸を歯の内部に定着させ、エナメル質を硬くする効果があります。初期むし歯の場合でしか作用はしませんが、いわゆる再石灰化が可能になります。

歯垢や酸の抑制

フッ化物を歯垢(プラーク)に取り込まれると、細菌の酸排出を抑制する効果があります。歯垢の中にいる細菌の働きを弱めてくれます。

参照先:厚生労働省

フッ素塗布後にうがいをしない理由

歯科医院でフッ素を歯に塗った後、唾を吐くのみでうがいをせず30分くらいは飲食を控えてくださいと言われる理由は、うがいをするとフッ素の効果が弱まるからです。エナメル質とフッ素が結合すると虫歯になりにくい結晶構造に変化するためです。ただ、フッ素の風味が気になる方もおられます。医院から言われた所定の時間を過ぎたら、軽くうがいをしても問題はないと思います。

食後の歯磨きも同様で、高濃度フッ素配合の歯磨き剤を使用しても、何度もうがいをするとお口の中の効果が薄れます。なるべくうがいは1回にとどめておく方が効果を期待できます。

フッ素塗布の後にうがいしない理由に関するQ&A

フッ素塗布後にうがいをしない理由は何ですか?

フッ素塗布後にうがいをしない理由は、うがいをするとフッ素の効果が弱まるためです。フッ素はエナメル質と結合して虫歯になりにくい結晶構造に変化します。唾液中のカルシウムと結合するため、30分くらいは飲食を控えることでフッ素の効果を最大限に発揮させるのです。

フッ素が歯に良い理由は何ですか?

フッ素が歯に良い理由は、以下の点によるものです。
1. 歯を強くする:フッ化物が口腔内に入ると、エナメル質の成分であるハイドロキシアパタイトがフルオロアパタイトに変化し、酸や水に溶けにくくなるため虫歯予防に効果的です。
2. 歯を修復する:フッ素が虫歯になりかけの歯に入ると、外部に溶けかけたカルシウムやリン酸を歯の内部に定着させ、再石灰化を促進します。
3. 歯垢や酸の抑制:フッ化物が歯垢に取り込まれると、細菌の酸排出を抑制する効果があります。

食後の歯磨きやうがいによるフッ素の効果について、どのような注意点がありますか?

食後の歯磨きやうがいによるフッ素の効果には注意点があります。高濃度フッ素配合の歯磨き剤を使用しても、何度もうがいをするとお口の中の効果が薄れる可能性があります。フッ素の効果を最大限に発揮させるためには、なるべくうがいは1回にとどめておくことが効果的です。医院から指示された時間を過ぎたら軽くうがいをしても問題ありません。

まとめ

歯のキャラクター
適量のフッ素で歯の成分は強化され、初期むし歯ならば修復することができます。ただ、フッ素をやみくもに摂取するということではなく、あくまで食後にしっかりと歯磨きを行い、歯垢や食べかすの除去を行いましょう。定期的に歯科検診へ行き、むし歯になっていないか確認をしてもらい、予防のためにフッ素塗布を行うことをおすすめします。

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