矯正歯科

インビザラインで出っ歯は治せる?

インビザラインで出っ歯は治せる?

インビザラインとは、透明なマウスピース型の矯正装置で、目立たずに歯列矯正を行うことができます。他人に矯正治療中であることがわからないため、大人の患者さんを中心に人気のある装置です。インビザラインでの出っ歯の治療についてご説明します。

インビザラインで出っ歯は治せるのか?

軽度から中等度の出っ歯であれば、インビザラインだけで治療することが可能です。しかし、重度の出っ歯や複雑な噛み合わせの問題を抱えるケースでは、他の矯正治療との併用が必要になる場合もあります。

1. 出っ歯の程度

軽度から中等度の出っ歯

インビザラインは軽度から中等度の出っ歯に効果的であり、装着時間などの注意事項を守ることによって、歯並びを整えることが出来ます。

重度の出っ歯

重度の出っ歯の場合、インビザラインだけでは完全な治療を行うことが難しい場合があります。ワイヤー矯正を併用したり、外科矯正が推奨されるケースもあります。

2. 歯と顎の健康状態

歯と顎が健康であるかどうか

歯と顎の骨が健康で、適切な成長をしている場合は、インビザラインで治療が可能です。

歯周病の場合は先に治療を行う

歯周病にかかっている場合は、先に歯周病の治療を行い、歯茎の状態が改善してから矯正治療を受けることが出来ます。

3. 患者さんの年齢と生活習慣

年齢

インビザラインは、顎の成長が完了している青年期や大人の人に最も適しています。歯の生え変わり時期の子供の場合は「インビザラインファースト」で治療を行います。

生活習慣

インビザラインは取り外しが可能なため、患者さんの協力が不可欠です。1日に20〜22時間の装着が推奨されており、食事や間食の度に外す必要がありますので、自己管理が必要です。

インビザラインでの出っ歯の治療

インビザラインは透明なマウスピース型の矯正装置で、アライナー(マウスピース)を10~14日間隔で付け替えていくことで歯を段階的に動かして理想的な歯並びにしていきます。

インビザラインは出っ歯(上顎前突)の治療にも良く使用されます。ワイヤー矯正と比較して目立ちにくいということが大きな特徴です。

インビザラインによる出っ歯治療のメリット

  1. 目立たない・・透明な樹脂で出来たマウスピースはほとんど目立たず、他人に矯正治療中であることがわかりません。
  2. 取り外し可能・・食事や歯磨きの際には取り外せるため、衛生的です。
  3. 痛みが少ない・・ワイヤー矯正に比べると弱い力で少しずつ歯を動かしますので、痛みを感じにくいです。
  4. 金属アレルギーの方も治療可能・・金属を使用しませんので、金属アレルギーの方でも安心して治療が受けられます。
  5. 通院回数が少ない・・他の矯正装置では1ヶ月毎に通院が必要ですが、インビザラインは2ヶ月に一度の通院で大丈夫です。

インビザラインでの出っ歯治療の流れ

1. 初診相談・診断

矯正歯科医が患者さんのお口の中を詳しく調べます。レントゲンや口腔内スキャナーでの撮影を行い、歯の状態を3Dデータで記録します。矯正治療で歯並びがどのように治っていくのか、簡易シミュレーターに歯型データを読み込ませて3D動画で見ることが出来ます。

2. 治療計画の作成

患者さんのデータを基に、クリンチェックという専用ソフトで治療終了までの歯の動きをシミュレーションし、治療計画を立てます。この段階で、治療の期間や費用を確認できます。

3. マウスピースの製作

クリンチェックのデータに基づき、複数のマウスピース(アライナー)が製作されます。アライナーの枚数は症例によって異なります。

4. マウスピースの装着

ここから実際にアライナーを装着して歯を動かして行く治療が始まります。アライナーを10~14日程度装着し続けると、次第に歯が動いていき、アライナーの形にぴったり合うようになります。

次のアライナーに交換し、またアライナーの形に合うように少しずつ歯を動かして行きます。アライナーの交換頻度は担当の歯科医師の指示に従いましょう。

5. 2ヶ月に1度程度の通院

治療中は2ヶ月に1度くらいの頻度で定期的に歯科医師の診察を受け、進行状況をチェックしてもらい、新しいマウスピースに交換します。この時に歯のクリーニングを行う場合もあります。また、虫歯が見つかった時は、矯正治療を一時中断して虫歯治療を優先的に行う場合もあります。

6. 治療後の保定期間

歯を動かす治療が終了した直後は、歯が動きやすい状態になっているため、リテーナー(保定装置)を使用して歯の位置を維持します。

インビザラインで治療する場合の注意点

費用について知る

治療を受ける前には、必ず治療期間中の費用の総額を知りましょう。支払い方法についても、早い段階で質問しておきましょう。

インビザラインで治療が可能かどうか

重度の不正咬合で歯並びや噛み合わせの問題が大きい場合には、インビザラインだけでの治療が難しい場合もあります。歯科医と相談して適切な治療法を選択することが重要です。

出っ歯とは?

出っ歯(上顎前突)とは、上顎の前歯が正常な位置よりも前方に突出している状態を指します。出っ歯は見た目の問題だけでなく、噛み合わせの悪さから顎関節症のリスクを高めるなど、健康上の問題を引き起こすこともあります。

どの程度の突出から出っ歯と診断される?

一般的に歯科医院で出っ歯と診断されるのは、以下のようなケースです。

  1. 前歯2本がとても目立つ
  2. 口を閉じた時に口元が前に出ている
  3. 唇を閉じた時に顎にしわが出る
  4. 上の前歯が下の前歯よりも5mm以上前に出ている

ご本人は出っ歯だと気にされていても、出っ歯ではないケースもありますので、どうしても気になる方は矯正歯科で診断を受けることをおすすめします。

出っ歯の原因

出っ歯の原因には様々なものがありますが、以下にいくつかご説明します。

  • 遺伝的要因・・親や祖父母が出っ歯の場合、遺伝によって子供が出っ歯になる可能性があります。
  • 習慣性要因・・幼少期の指しゃぶりや、舌を歯に押し当てる習慣などが、顎の成長に影響を与え、出っ歯を引き起こすことがあります。
  • 顎の成長の問題・・上顎が下顎に比べて大きい場合、出っ歯になることがあります。

出っ歯の症状と影響

出っ歯は以下のような症状や影響を及ぼすことがあります。

  • 審美的な問題・・出っ歯は見た目に影響を与え、自信の喪失やコンプレックスに繋がることがあります。
  • 噛み合わせの問題・・上下の歯が正しく噛み合わない場合、食べ物を咀嚼する際にうまく噛めなかったり、顎関節症の原因となることがあります。
  • 発音の問題・・出っ歯の場合、一部の音を正しく発音することが困難になり、滑舌に影響が出ることがあります。

幼少期に出っ歯を引き起こす習慣がある場合、これらの習慣を止めることで、出っ歯の悪化を防ぐことができます。

まとめ

インビザラインでの出っ歯の治療が可能かどうかは、出っ歯の程度や原因によって異なります。矯正治療を検討している場合は、まず矯正歯科医に相談し、インビザラインが適切な治療方法であるかどうかを診断してもらいましょう。

インビザラインを用いた出っ歯(オーバーバイト)の治療に関して、以下の2つの研究が参考になります。

1. Khosraviらによる研究では、インビザラインを使用したオーバーバイト治療の効果を検証しました。この研究では、特に深い咬み合わせを持つ患者において、インビザラインが前歯の傾斜変化を通じてオーバーバイトを改善することが確認されました。モーラー(奥歯)の垂直位置や顎の角度に大きな変化は見られませんでしたが、前歯の動きによってオーバーバイトが効果的に管理されることが示されています。[Khosravi et al., 2017]

2. Fujiyamaらによる研究では、インビザラインと従来の固定装置を用いた治療を比較し、両者が重度のオーバーバイト患者の治療において有効であることが示されました。特に、インビザラインは垂直方向の寸法を管理し、顎の反時計回りの回転を促す効果があることが示唆されています。[Fujiyama et al., 2021]

これらの研究から、インビザラインは特定のオーバーバイトの症例において有効な治療選択肢であり、特に前歯の位置調整を通じて顕著な改善が期待できることが理解されます。

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