歯と口のトラブル

加齢で歯の色が黄色っぽくなるのはどうして?

加齢で歯の色が黄色っぽくなるのはどうして?

なんばクローバー歯科 歯科医師 共田 京太

加齢による影響で歯の色が黄色っぽく見えるようになるといわれます。その理由についてご説明します。

歯の構造と加齢による変化

人間の歯は、エナメル質、象牙質、セメント質、歯髄という異なる組織から成り立っています。特に加齢に伴う歯の変色に大きく関わるのは、エナメル質と象牙質です。

エナメル質の加齢による変化

エナメル質は歯の最も外側にある透明で非常に硬い組織です。しかし、エナメル質は時間の経過とともに摩耗や微小な損傷を受けやすく、その結果として徐々に薄くなります。エナメル質が薄くなると、その下にある象牙質が透けて見えるようになり、歯が黄色く見える原因となります。

象牙質の加齢による変化

象牙質はエナメル質の下に位置し、歯の大部分を占める組織です。エナメル質よりも柔らかく、黄色がかっています。エナメル質が薄くなると、この象牙質の色がより明確に見えるようになり、加齢と共に歯が黄ばんで見える主な理由となります。

さらに、年齢を重ねると、象牙質自体も変化し、密度が増してより黄色くなる傾向があります。

加齢によるその他の影響

口内のpH変動や摂取する飲食物、喫煙などもエナメル質の摩耗や象牙質の変色に関係があります。これらの外部要因が加齢による自然な変化に加わって、歯の黄ばみを進行させます。

食生活が歯の色に与える影響

色素の強い食品や飲料は、歯のエナメル質を着色し、長期間にわたる摂取が歯の黄ばみを進行させます。加齢と共にエナメル質が薄くなると、これらの着色はより目立つようになります。

ただし、食品による自然な着色は定期健診時のクリーニングである程度除去することが出来ます。

色素の強い食品や飲料の影響

コーヒー、紅茶、赤ワインなどの色素が強い飲料は、歯のエナメル質に着色を引き起こします。これらの飲料を頻繁に摂取することは、時間とともに歯の黄ばみを促進させる原因となります。また、カレーやトマトソースなどの色素が強い食品も同様の影響を及ぼします。

加齢と食生活の変化

年齢を重ねると、味覚が変化し、より味が濃い食品や甘い食品を好む方もおられます。これらの食品はしばしば色素が強いものであり、歯に着色しやすいです。さらに、加齢による唾液の分泌減少も、食品の色素が歯に付着しやすくなる一因となります。

食生活の管理と歯のケア

色素の強い食品や飲料を摂取した後は、水を飲んだり、うがいをしたりして、口内をきれいにすることが重要です。また、着色を防ぎ、歯の健康を保つために歯磨きも不可欠です。ストローを使う、食後すぐに歯を磨く、定期的な歯科検診を受けるなどの習慣は、加齢による歯の黄ばみを軽減するのに役立ちます。

加齢によって歯が黄ばむのを防ぐためには?

加齢によって歯が黄ばむのを防ぐためには、日々の生活習慣の見直しや適切な口内ケアが重要です。以下に、効果的な対策をいくつかご紹介します。

1. 適切なオーラルケアの実践

  • 毎日2回、正しいやり方で歯磨きを行うことが基本です。特に、就寝前の歯磨きはていねいに行いましょう。
  • デンタルフロスや歯間ブラシを使用して、歯と歯の間や歯周ポケットの清掃も行いましょう。
  • 歯ブラシは1~3か月程度で新しいものに交換し、常に清潔な状態を保つようにしましょう。

2. 定期的な歯科健診

  • 歯科医師による定期健診を受けることで、早期に問題を発見し、適切な処置を行うことができます。
  • プロフェッショナルクリーニングにより、歯石除去や歯面のポリッシングを行い、着色しにくくします。

3. バランスの取れた食生活

・着色性の高い食品や飲料(コーヒー、紅茶、赤ワインなど)の摂取を控えましょう。
・ビタミンやミネラルが豊富な食品を積極的に摂取し、歯や歯茎を健康に保つことが重要です。

4. 喫煙の中止

  • タバコのヤニは歯を黄ばませる主な原因の一つです。喫煙をやめることで、歯の黄ばみを防ぎます。

5. 適切なホワイトニング製品の使用

  • 自宅で使用できるホワイトニング製品を選ぶ際は、安全性や効果が確認されたものを選び、正しい使用方法を守りましょう。
  • 効果的なホワイトニングを求める場合は、歯科医院でのプロフェッショナルなホワイトニングを検討するのも一つの方法です。

これらの対策を日常生活に取り入れることで、加齢による歯の黄ばみを防ぎ、健康で美しい歯を保つことが可能になります。

歯の色はどうやって決まるの?

歯の色調は歯の内部構造によって作られています。先端部分は透明度が高く、歯の根元に向かって徐々に透明度がなくなっていきます。

歯の表面を覆うエナメル質は半透明で、くもりガラスのようなものとお考え下さい。エナメル質は歯の先端では分厚く、歯の根に近いほど薄くなっています。歯の色は半透明のエナメル質を通して歯の内部の象牙質の色が見えており、その透過具合によって色が決まります。

象牙質は黄色っぽい色をしているため、歯の先端部分は白く見え、歯の根に違い部分では象牙色が透過されて黄色っぽい色に見えます。

そのため、歯がうっすらと黄色く見えるのは歯の本来の色であり、必ずしも汚れているからというわけではありません。

まとめ

歯の色

加齢のためにエナメル質が薄くなり、同時に内部の象牙質の色が濃くなるためにその色が透過して歯が黄色くなるということをご説明しました。歯の表面の汚れは歯のクリーニングできれいに落とせますが、歯の内部の汚れは落とせませんので、その場合はホワイトニングをご検討ください。

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