
歯の着色が気になって、ついゴシゴシこすってしまう…
鏡を見たとき、「あれ?歯がちょっと茶色い…?」と感じたこと、ありませんか?
コーヒーや紅茶、ワインをよく飲む方にとって、歯の着色は気になるポイント。そしてつい、「歯ブラシで強めにこすれば落ちるはず!」と思ってゴシゴシ…
でも、それ、ちょっと待ってください!
目次
間違ったケアが歯や歯ぐきを傷つけるリスクとは?
着色を落としたい一心でやってしまう強い歯磨きには、意外な落とし穴が…。
ゴシゴシ歯磨きが引き起こすリスク
→ 歯の表面を守るエナメル質はとても薄くて繊細。強くこすると削れてしまいます。
→ エナメル質が削れると、冷たいものがしみる原因に…。
→ 歯と歯ぐきの境目を強く磨くと、歯ぐきが下がってしまうこともあります。やさしい力で磨きましょう。
→ 強くこすることで、磨きにくい場所(奥歯の裏側など)への歯磨きが雑になり、結果として歯垢が残るケースも。
これらのリスクは、すぐに症状として出ないことも多いため、気づかないうちにダメージが蓄積されるのが怖いところなんです。
歯の着色を歯ブラシで強くこすって取ると危険な理由
歯の着色汚れを落とそうとして、歯ブラシでゴシゴシ強く磨くことは逆効果になり得ます。以下に、日本の公的機関や歯科専門団体・大学など信頼性の高い情報源から、この行為が危険である理由を整理します。
- 歯垢を落とそうとして力を入れてゴシゴシ磨く「オーバーブラッシング」をすると、かえって歯ブラシの毛先が広がって清掃効果が落ちるうえ、歯ぐきを傷つけ歯肉退縮(歯ぐき下がり)の原因になります。歯ぐきが下がって歯の根元が露出すると知覚過敏や根面う蝕(根のむし歯)のリスクが高まります。適度な軽い力で短いストロークで1本ずつ丁寧に磨くことが大切とされています。
- 「研磨剤入りの歯磨き剤は歯を削るから良くない」という思い込みについて、実際に歯が削れる主因は歯磨き時の過度な圧力であり、次いで歯ブラシの毛の硬さなど物理的要因であることが調査で分かっています。
- 歯磨き剤(歯磨き粉)の研磨剤の歯に対する摩耗性は国際規格(ISO)で安全性が確保されており、市販品は通常のブラッシング圧で使用すれば問題ないレベルです。
- 研磨剤を気にしすぎるより、ゴシゴシと強くこすりすぎないことが大切だと専門家も指摘しています。
- エナメル質は人体で最も硬い組織ですが、毎日のセルフケアにおいて強すぎるブラッシングはエナメル質を徐々に削る原因になるため、適度な力加減で磨くべきだと解説されています。
- また、硬すぎる歯ブラシの使用もエナメル質を傷つけてしまうため、自分に合った適度な硬さの歯ブラシを選ぶことが重要です。
歯の着色は歯ブラシでゴシゴシしてもいい?
「歯をキレイにしよう」と力任せに磨くことの落とし穴が紹介されています。強い力で磨きすぎると歯の表面のエナメル質が少しずつ削れ、進行すると知覚過敏になったり着色がつきやすくなったりする原因になります。
また、過度な力は歯ぐきにもダメージを与え、歯ぐき下がりを招くこともあります。肝心の着色汚れも、表面がザラつくことで逆に付きやすくなり、着色が悪化するという悪循環につながります。
つまりゴシゴシ磨きは、歯をきれいにしたい気持ちとは裏腹に、エナメル質や歯ぐきにダメージを与えかえって着色を増やす可能性があるのです。
参考文献・出典:日本歯科医師会『歯の学校』Vol.76「歯みがき い・ろ・は」、日本歯科医師会WEBマガジン「朝昼晩」Vol.43(高柳篤史 客員准教授監修)、歯科再生医療協会コラム(中島美砂子 歯学博士監修)
着色を落とそうとして逆に歯を痛めたケース
ある患者さんは、「市販の研磨剤入り歯磨き粉で1日に何度も歯を磨いていた」とおっしゃいます。最初は少しずつ白くなっているように感じたものの、ある日突然「冷たい水がしみる」との訴えで来院されました。
診断の結果、エナメル質が摩耗して象牙質が露出しており、知覚過敏と軽度の歯ぐきの退縮が起きていました。つまり、強い力で歯磨きしすぎたか、研磨剤の入った歯磨き粉でゴシゴシしすぎたことが考えられます。
これはまさに、自己判断での過度な着色ケアが原因で、「見た目をよくしたい」という気持ちが、逆に歯の健康を損なってしまったケースです。
歯ブラシの当て方の強い、弱いはどの程度の感覚?
「優しく磨きましょう」と言われても、「どのくらいの力が“優しい”の?」って、けっこう曖昧ですよね。
実は、歯を傷つけないための適切な歯磨き圧には、ちゃんとした目安があります!
適切な歯磨きの力加減は“150~200g”が目安!
日本歯科医師会などの資料では、150~200g程度の圧力が理想的とされています。
これってどんな感覚かというと…
こんな感覚を目安にしてみて!
- ペンを持って字を書くくらいの力
- 歯ブラシの毛先がわずかにしなる程度
- 歯ブラシを当てて、歯ぐきがほんの少しだけ白くなる程度
- キッチンスケールに歯ブラシを当てて測ると200g前後
力が強すぎるサイン
歯ブラシの毛先がすぐに開いてしまう(1ヶ月もたない)
磨いた後、歯ぐきがヒリヒリしたり、出血したりする
歯ブラシの柄を握りしめている(筆圧強めタイプの方は要注意)
ペンを持つように、なでるように
「ちゃんと汚れを落とさなきゃ!」という気持ちから、つい力が入りがちですが、歯垢や着色汚れは“削る”のではなく、“浮かせて落とす”のが基本です。
やさしく磨くことで、歯の表面を傷つけずに健康なエナメル質を守ることができます。もし自分の歯磨き圧が不安な方は、歯科医院で一度磨き方をチェックしてもらうのもおすすめですよ。
正しい着色対策と、セルフケアの見直し
じゃあどうすればいいの?というと、やっぱり大事なのは「やさしく、正しくケアすること」。
歯の着色を防ぐ&落とすためのセルフケアのポイント
・やわらかめの歯ブラシを使う
→ 歯や歯ぐきを優しく守りながら磨けます。
・歯磨き粉の選び方に注意
→ 「ホワイトニングタイプ」でも、研磨剤が強すぎるものはエナメル質を傷めますので、避けましょう。
・歯磨きは力を入れすぎない
→ ペンを持つくらいの軽い力がベストです。
・1日2回以上、ていねいに磨く
→ 時間をかけて、着色しやすい部位(前歯や奥歯)を意識して磨きましょう。
・着色しやすい食後は水ですすぐ
→ 食後すぐに軽くうがいするだけでも着色の付着を軽減できます。
このように、正しい方法での歯磨きが何よりの着色予防になります。
自分でできるケア方法&歯科医院での着色除去
セルフケアで限界を感じたら、プロの手を借りるのがベスト!
歯科医院でできる着色ケア
エアフロー
微粒子のパウダーと水圧で、やさしく着色を吹き飛ばす新しい方法。痛みもほぼありません。軽い着色はエアフローで落とすことが出来、歯本来の白い色がよみがえります。
歯垢の除去も同時に行うことが出来るため、当院では歯のクリーニングはエアフローだけで行っています。保険適用です。
健診での定期チェック
着色だけでなく、虫歯や歯周病のチェックも同時に行えます。
どれも歯や歯ぐきを傷つけることなく、安全にケアできます。
市販の方法に頼りすぎる前に、歯科医院でのクリーニングを活用するのが安心ですね。
安心・安全なケアのために、プロのアドバイスを受けましょう
「着色が気になる」「もっと白くしたい」そんな気持ちはとっても自然なことです。
でも、間違ったケアが逆に歯のトラブルを招く可能性があることを、ぜひ知っておいてください。
- 歯の色が気になるときは、まずは歯科医院で相談
- 自分に合った方法を教えてもらうことで、より安全で効果的なケアが可能になります
まとめ
「歯 着色 歯ブラシでこする」という行動には、一見効果がありそうに見えても、歯の表面や歯ぐきにダメージを与えるリスクがあることがわかりました。
大切なのは、力を入れずに優しくケアをすること。そして必要に応じて歯科医院でのプロのクリーニングを取り入れることです。
無理にこすらず、正しい方法で「キレイで健康な歯」を守っていきましょうね。