歯と口のトラブル

親知らずを抜くメリットとは?

親知らずを抜くメリットとは?

親知らずを抜くメリットと言われてもピンと来る方は少ないかもしれません。親知らずの抜歯にどんなメリットがあるのか、デメリットも併せて詳しくご紹介いたします。

親知らずとは

専門的に親知らずは、第三大臼歯や智歯(ちし)と呼びます。一般的には15歳から25歳の間に生えてくることが多く、混合歯列期と違い、親が子供の口の中を確認しない年齢ということから親知らずと呼ばれます。口腔内のスペースが不足している場合、親知らずはさまざまな問題を引き起こす可能性があります。歯並びの乱れや痛み、感染症などの問題があり、多くの歯科医院では、親知らずの生え方に問題がある場合、抜歯することを推奨しています。

親知らずを抜くことについて

親知らずの抜歯に関しては、患者さんの口腔衛生にとってプラスになる場合が多い一方、抜歯後のケアや稀に発生する合併症について理解しておき、適切な準備をすることが重要です。個々の状況や歯の状態、口腔内の健康全体を考慮することはさらに大切です。

親知らずを抜く流れ

難しい生え方ではない親知らずの場合、どのような流れで抜くのか、簡単にご説明します。

①歯肉に表面麻酔をする
局所麻酔をする痛みを取り除くため行います。
②麻酔の効果が現れたか確認し、注射により局所麻酔
この時点で痛みを感じる場合は担当医に伝えてもう一回行ってもらいます。
③歯を抜く
歯と歯茎を断裂させ抜歯鉗子(かんし)で抜き、歯根が入っていた部分の汚れを除去します。他の歯を押しながら抜くケースが多いため、違和感を感じる方がおられます。この時、親知らずが虫歯になっていた場合、対処を行います。
④抜歯後は球状の綿を30分間上下しっかり噛む
清潔な綿で圧迫することで歯茎からの止血をします。
⑤化膿止めや痛み止めを服用する
処方された化膿止めは必ずきちんと飲み切り、痛み止めは痛い時には間隔を空けて服用しましょう。

抜歯後はお口の中で血の味がします。痛みや腫れについては約4日くらいで引くことが多く、通常の状態に戻るには約1週間程度とお考えください。それ以降も血の味が続く場合は、ドライソケットが疑われます。

親知らず抜歯のメリットとは


出血や痛み、腫れというデメリットがあるのに、なぜ親知らずを抜く必要があるのでしょうか。メリットとしては、下記のとおりです。

歯並びの改善

親知らずは、しばしば他の歯に圧力をかけ、歯並びを悪化させる原因となります。歯を抜くことで、他の歯への圧力が減少し、既存の歯並びや将来的な矯正治療の効果を向上させることができます。

口腔衛生の向上

親知らずの位置は奥であるため清掃が難しく、歯垢(プラーク)や食べかすが蓄積して虫歯や歯周病のリスクが高まります。抜歯により、細菌感染のリスクを軽減し、全体的な口腔衛生を向上させることが可能です。

口臭予防

不十分な歯磨きは親知らず周辺に歯垢や歯石を蓄積させてしまい、口臭の一因となります。親知らずを抜くことで、口臭を引き起こす嫌気性バクテリアの減少に繋がります。

歯周病予防

親知らずが原因である歯垢や歯石の蓄積は、歯周病を引き起こす可能性があります。他の健康な歯も抜けてしまう可能性があるため、抜歯は歯周病の進行を防ぐうえで重要な手段となり得ます。

口腔内の傷予防

親知らずが生えると噛み合わせが変化するため、誤って頬の内側や舌を噛む原因になります。何度も同じ部分を噛むと口内炎になってしまうので、親知らずを抜くことで、痛みや不快感を避けることができます。

まとめ

治療
これらのメリットやデメリットを踏まえ、親知らずの抜歯は検討しましょう。気になる場合はかかりつけの歯医者さんへ相談してみると、親知らずを抜くべきかどうかきちんと診断してくれます。

親知らずを抜くメリットについての情報は、以下の研究から得られます。

1. 手術後の合併症のリスク低減

親知らずの外科的除去は、一般的に行われる口腔および顎顔面外科の操作の一つです。外科的除去の最も一般的な適応症は、骨や軟組織に衝突して部分的に噴出した歯に関する感染症です。手術による親知らずの除去の利点としては、歯肉周囲炎およびその潜在的な結果の症状および兆候の軽減が最も一般的です。しかし、手術はしばしば術後の痛み、腫れ、および開口障害と関連しています。希に、乾燥ソケット、三叉神経損傷、まれに下顎骨の骨折などの合併症が発生することがあります【P. Coulthard, E. Bailey, M. Esposito, S. Furness, T. Renton, H. Worthington, 2014

2. 無症候性無疾患の親知らずの管理

無症候性で疾患のない親知らずの管理は、口腔顎顔面外科医(OMS)が日常的に直面する決定です。この種の親知らずの治療は、基本的に二者択一の選択肢です:(1)手術的治療(例えば、抜歯)または(2)保存。無症候性で疾患のない親知らずの管理(抜歯対保存)は非常に議論の的となっており、各治療オプションの熱心な支持者がいます。将来の疾患のリスクのために、アメリカ口腔顎顔面外科学会は「若い大人の時点で親知らずを抜くことを推奨していますが、アメリカ公衆衛生協会(APHA)はこの戦略に反対しています。しかし、無症候性で疾患のない親知らずのほとんどの管理は、これら二つの極端な見解の間のどこかにあります【T. Dodson, 2012

これらの研究から、親知らずを抜くことのメリットは、特に歯肉周囲炎の症状の軽減や合併症のリスクの低減に関連していることが示されています。しかし、無症候性で疾患のない親知らずの管理は、患者の具体的な状況や将来のリスクを考慮した慎重な意思決定が必要です。

なんばクローバー歯科

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック